AIへの頼み方の基本|指示文に入れる5つの要素と例
公開日:2026年10月7日
「AIに頼んでみたが、どこかで読んだような文章しか返ってこなかった」という声をよく聞きます。多くの場合、原因はAIの性能ではなく、頼み方にあります。この記事では、仕事でAIを使うときに、指示文へ入れておきたい5つの要素を説明します。
AIは、書かれていないことを知らない
同僚に「取引先にメールを書いておいて」と頼む場面を想像してください。同僚は、どの取引先のことか、これまでにどんな経緯があったか、ふだんどんな調子でやり取りしているかを知っています。だから、一言で通じます。
AIは、こうした事情を何も知りません。知らないことは、一般的な内容で埋めるしかありません。その結果が、「いつもお世話になっております。ご確認のほどよろしくお願いいたします」という、誰にでも送れる文章です。
つまり、AIから良い回答を得るための方法は、特別な言い回しを覚えることではありません。初めてその仕事を手伝う人に説明するつもりで、必要な事情を書くことです。
指示文に入れる5つの要素
仕事で使う指示文には、次の5つを入れると安定します。すべてを長く書く必要はなく、それぞれ一文ずつでも効果があります。
1. 立場
AIに、どんな立場で答えてほしいのかを伝えます。「ビジネスメールの作成に詳しいアシスタントとして」「Excelに詳しい人として」のように書くと、言葉づかいや説明の細かさが、その立場に合ったものになります。
2. 目的
何を作ってほしいのかを書きます。「メールを書いて」ではなく、「取引先に見積書を送るメールの文面を作ってください」と、成果物をはっきりさせます。
3. 背景
相手は誰か、これまでにどんな経緯があったかを書きます。回答の質にいちばん影響するのは、この部分です。「先日の打ち合わせで依頼された見積である」という一文があるだけで、書き出しが変わります。
4. 条件
必ず入れたい内容、文章の調子、長さ、期日などを書きます。箇条書きで構いません。「金額は税別」「有効期限は30日」「10月15日までに返答がほしい」のように、事実を並べます。
5. 出力の形
どんな形で答えてほしいのかを書きます。「件名と本文に分けて」「箇条書きで」「表にして」と指定すると、そのまま使いやすい形で返ってきます。
悪い例と良い例を比べる
同じ用件を、2通りの頼み方で比べてみます。
良い例は長く見えますが、書かれているのは事実の箇条書きだけです。文章として整える必要はありません。整えるのはAIの仕事です。
回答が期待と違ったときの直し方
5つの要素を入れても、最初の回答がそのまま使えるとは限りません。そのときは、同じ会話の中で、直してほしい点を伝えます。新しく頼み直す必要はありません。
・長さを直す:「全体を200字以内にしてください」
・調子を直す:「もう少しやわらかい表現にしてください」
・一部だけ直す:「2段落目だけ、理由をもう少し詳しく書いてください」
・案を増やす:「件名の案を、あと3つ出してください」
・事実を直す:「有効期限は30日ではなく60日です。直してください」
うまく伝わる直し方には共通点があります。「どこを」「どのように」を具体的に示していることです。「もっと良くして」という頼み方では、AIは何を変えればよいのか判断できません。
よくある失敗
一度に多くのことを頼む
「メールを書いて、その英訳と、社内向けの報告文も作って」と一度に頼むと、それぞれの質が下がります。一つずつ順番に頼むほうが、結果は良くなります。
前の会話を引きずる
別の用件を、同じ会話の中で続けて頼むと、前の内容が混ざることがあります。用件が変わるときは、新しい会話を開いてください。
回答を確かめずに使う
AIは、書かれていない事柄を、もっともらしい内容で補うことがあります。日付、金額、制度の名前などは、必ず自分で確かめてから使います。
5つの要素を考える時間がないときは
5つの要素を毎回考えるのは、慣れるまで手間がかかります。AI仕事相談所は、この部分を質問の形にしたサービスです。仕事の場面ごとに、伝えるべき情報を質問としてお聞きし、回答から指示文を組み立てます。
できあがった指示文を読むと、5つの要素がどのように並んでいるかが分かります。何度か使ううちに、自分で指示文を書くときの型としても参考にしていただけます。
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